序章 |
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【○】 | |||
俺は今、結構とんでもないことになっている。 賭けるものは無いけど、賭けても良い。これを話せるなら誰にでもベラベラと喋りたい。 でも話したところで誰も気にも留めないだろうし、「ハイハイ」の一言で手を横に振るだけだろう。 それくらい信じられない話だし、俺も実は過ぎた冗談じゃないのかと疑っているくらいだ。 いや、これが本当は冗談だったらどれだけ安心できるか…… それは、何でもない興味から始まった。 大学のオカルト研究サークルの活動の一環で、ネット動画でアップされていたのを流し見していたのが切っ掛けだった。 折角のオカルト研究なんだから、俺たちもやろう。 そんな何気ない好奇心が始まりだったのだ。 それが切っ掛けでとんでもない事が起きてしまった。 ……また電話が流行曲のサビを奏でてブルブル震える。 毎度、画面を見ては奇妙に思う。送り主が表示されないんだ。 奇妙な内容が送られるこのメールに、一瞬だけ開くのを躊躇われる。 そんな事気にしてはいけない。もう何度もソイツからのメールは開けているのだ。今更無視したところで何の防衛策にもならない。 メールには不規則な配列でこうあった。
メールの原文そのまんまだが、これはそれっぽい演出をしているのか、はたまたホンモノなのかわかりかねる。 とりあえず、ゾッとする文面だけなのは確かだ。正気の沙汰じゃない。 もう一度言う。 このメールには送り主が表示されてない。というより、メールアドレスが空白なのだ。 厳密には送り主がいない。 奇妙なこの贈り主、どうやら幽霊らしい。 なんでこんな事になったか……いや、きっかけはハッキリしているが、何故俺なのかが疑問が絶えない。 とりあえず今更無視を決め込むのもどうかと思うので返事を送る。
返事は割と早く来た。
コイツの思惑も狙いもハッキリしている。実際、俺の事はどうだっていいらしいし。 さて、そろそろ本題に入ろうか。 この奇妙な幽霊さんとどういう成り行きでメル友になったか。 まどろっこしいし少々遠回りになるが、興味あるなら付き合っていただきたい。 |
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